厳しすぎ? EU加盟国が負う財政規律

EUは経済の異なる国々が参加し、ユーロという共通通貨を支える仕組みとなっています。ギリシャショックで見られたように、参加国で財政悪化が表面化すると、ユーロ全体が揺らぎかねません。

そこで、EUは参加国に一定の財政規律を課しています。年間の財政赤字をGDP比3%以内にすること、また債務残高をGDP比60%以下とすることが主な柱です。日本の場合、前者はGDP比5.9%の赤字、後者は256.9%となっており、どちらも満たすことはできていません(2021年)。

【EUが加盟国に課す主な財政規律要件】
・年間の財政赤字をGDP比3%以内にする
・債務残高をGDP比60%以下にする
​・債務残高がGDP比60%超となった場合、毎年5%ずつ削減し、20年以内にGDP比60%以内の水準とする

もっとも、これらの基準はEU加盟国にとっても簡単な水準とはいえないようです。特に新型コロナウイルスに対する経済対策を実施して以降、多くのEU加盟国がこれらの基準を超える状況に陥りました。EUは財政健全化を加盟国に求めていく方針ですが、道筋は険しそうです。

【2021年における主要国の財政収支と債務残高の推計値(対GDP)】

出所:財務省 財政に関する資料