弟たちが遺言に納得せずトラブルに

柳原さんが遺言書を見て「報われた」などと考えていたのはつかの間、不満を抱いたのは弟と妹です。

弟と妹はまず「遺言書は偽物だ」と言い始めました。「母がそんな不公平な遺言書を書くはずがない」というのです。柳原さんは「兄さんが無理に書かせたに違いない」とまで言われてしまいました。

しかし遺言書は公正証書遺言であり、母がまだ元気なうちに作成されたものでした。また、柳原さん自身も遺言書の存在を母が亡くなるまで知らなかったのであり、無理やり書かせたなどの状況はあり得ませんでした。

遺留分を請求された

遺言書が無効という主張が通らないことが分かると、弟たちは「遺留分」を主張し始めました。

遺留分は兄弟姉妹以外の法定相続人が最低限取得できる遺産の割合です。遺言によっても遺留分を侵害できないので、遺言書で不公平な遺産の分け方が指定されても遺留分権利者は最低限、遺留分までは遺産をもらえます。

弟と妹は弁護士に相談に行って遺留分の知識をつけ、柳原さんにそれぞれ800万円ずつ、合計1600万円もの支払いを請求してきたのです。

柳原さんは驚き、「本当にそんな権利が認められるのか?」と疑問を感じて弁護士に相談に行きました。

すると、実際に柳原さんが自宅不動産などを相続していて価値が高いので、弟と妹の遺留分もそれなりの金額になってしまうということが分かりました。柳原さんの場合、弟と妹には遺産の6分の1ずつの遺留分が認められるのです。

ただ不動産の評価方法について弟と妹は多少高めに算定していたので、評価次第ではもう少し下げられる可能性はある、と言われました。