遺言によって遺産を多くもらえても、他の相続人から「遺留分」を請求されてトラブルに巻き込まれてしまうケースが多々あります。

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められる最低限の遺産取得割合をいいます。遺言があっても子どもなどの相続人には遺留分が認められるので、他の相続人から「遺留分侵害額」というお金を請求されてトラブルになってしまう可能性があるのです。

今回は柳原さん(仮名、60代男性)の体験談をもとに遺留分トラブルについて解説します。

柳原さんの場合

柳原さんは3人きょうだいの長男です。下には弟と妹がいて、2人とも結婚して自分の家を構えています。

柳原さんは長男ということで、家を出ずに父母と同居してきました。父は早くに亡くなり、母は体が弱って晩年に認知症になりましたが、柳原さんの妻が中心になって自宅で介護も行っていました。他の2人のきょうだいは母の介護に関わることは一切ありませんでした。

そうこうしているうちに、母もこの世を去りました。

母の遺言書が発見される

母親が死亡して柳原さんたちが自宅を調べてみると、母親は公正証書で遺言書を遺していたことが分かりました。

それは柳原さんに「自宅の不動産をはじめとして全ての遺産を相続させる」内容となっていました。弟や妹の分は一切書かれていなかったのです。おそらく柳原さんが最後まで両親と一緒に住んで介護なども行ったことを評価してくれたのでしょう。

柳原さんはこの遺言内容を見て少し驚きましたが、「頑張って介護したことが報われてよかった」と考えていました。