金融業界が注力するのは信託報酬を高く設定できる「成長投資枠」!?
しかし、インデックス型投資信託は同じベンチマークを目標にする限り、投資信託会社が違ったとしても、運用成績はほぼ同じです。運用成績で付加価値を付けることが出来ない以上、自分のところに資金を集めるためには、別のアピールポイントを作らなければなりません。それがインデックス型投資信託の信託報酬率引き下げ競争を、一段と激しいものにしました。
現状、年間の信託報酬率が0.1%を割るようなファンドもあり、信託報酬率の引き下げ競争も、行き着くところまで行った感があります。
こうしたローコストのインデックス型投資信託にばかり資金が集中しても、投資信託会社や販売金融機関にとっては、ほとんど収益になりません。そのため、2024年からスタートする予定の新NISA制度において、投資信託会社や販売金融機関が期待しているのは、どちらかというと成長投資枠で買い付けられる商品、であると考えられます。
成長投資枠なら「毎月分配型」と「レバレッジ型」、そして信託期間が20年を切っている投資信託以外の投資信託なら投資できるはずなので、この枠を利用して、信託報酬率を高めに設定できるアクティブ型投資信託を、積極的に販売してくることも十分に考えられます。
個人の資産形成において「長期、積立、分散投資」を重視するのであれば、つみたてNISAが果たすべき役割は重要と考えますが、それが商売になるのかという金融業界側の論理から考えると、新NISA制度で金融業界が注力するのは成長投資枠の普及という、本末転倒な結果になることを懸念します。