同時加入にあたっての知っておくべき
三つの注意点

法改正により企業型DCとiDeCoの同時加入が可能になるにあたって、iDeCoを申し込んだほうがいいのかわからない、考え方を教えてほしい、という声を聞くようになりました。次の三点が主な検討ポイントとなります。

マッチング拠出とiDeCoの両方を活用することはできない、どちらかの選択、という点です。

企業型DC加入者の拠出上限額は月5.5万円(他の企業年金ありの場合は2.75万円)で変わらない、ということです。企業型DCで毎月5.5万円(2.75万円)、iDeCoで2万円(1.2万円)をそれぞれに拠出できるわけではなく、双方あわせて月5.5万円(2.75万円)が拠出上限額です。そのため、企業型DCで毎月5万円超(2.25万円超)の事業主掛金があると、iDeCoは活用できません(iDeCoの最低掛金が5千円以上と定められているため)。

③制度の管理コストも検討が必要です。企業型DCであれば管理コストは基本的に会社負担なのに対し、iDeCoは本人負担です。しかも毎月発生し、金融機関によって設定が異なります。なお、月額171円(年間2,052円)が最低金額となっています。

事業主掛金の違いでiDeCoに拠出できる金額は異なるので注意が必要

前述の注意点①②は、企業型DC加入者がiDeCoに同時加入する際の拠出限度額に関係します。またマッチング拠出の有無によっても異なるため、場合分けして整理してみます。

<1>企業型DC規約にマッチング拠出が設定されていない場合
【他の企業年金制度なし】
事業主掛金3.5万円以下・・・iDeCoで2万円まで
事業主掛金3.5万円超5万円以下・・・iDeCoは5.5万円から事業主掛金額を引いた金額まで
【他の企業年金制度あり】
事業主掛金1.55万円以下・・・iDeCoで1.2万円まで
事業主掛金1.55万円超2.25万円以下・・・iDeCoは2.75万円から事業主掛金額を引いた金額まで
なお、確定給付企業年金(DB)制度等がある場合、2年後にも法改正が予定されています。DB制度の掛金相当額によって、iDeCoで活用できる金額が変動するので、ご留意ください。

<2>企業型DC規約にマッチング拠出が設定されている場合
マッチング拠出とiDeCoの拠出可能額について、どちらがより多く拠出できるか、を比較してみましょう。
【他の企業年金制度なし】
事業主掛金2万円未満・・・マッチング拠出上限額<iDeCo上限2万円
事業主掛金2万円・・・マッチング拠出上限額=iDeCo上限2万円
事業主掛金2万円超3.5万円未満・・・マッチング拠出上限額>iDeCo上限2万円
事業主掛金3.5万円以上・・・マッチング拠出上限額(5.5万円-事業主掛金)=iDeCo拠出可能額
【他の企業年金制度あり】
事業主掛金1.2万円未満・・・マッチング拠出上限額<iDeCo上限1.2万円
事業主掛金1.2万円・・・マッチング拠出上限額=iDeCo上限1.2万円
事業主掛金1.2万円超1.55万円未満・・・マッチング拠出上限額>iDeCo上限1.2万円
事業主掛金1.55万円以上・・・マッチング拠出上限額(2.75万円-事業主掛金)=iDeCo拠出可能額

なお、iDeCoの掛金は5,000円以上1,000円単位に限定されていますが、マッチング拠出は掛金の選択肢が企業ごとに決まっています。