ファンドマネージャーとして豊富なキャリアを持ち、人気ファンド「ひふみ」シリーズの最高投資責任者である藤野英人氏が“14歳の自分”に伝えたい「お金の本質」を綴った話題の書籍『14歳の自分に伝えたい「お金の話」』。
投資をする意味、投資の先にあるもの、お金を通して社会を見つめること……14歳に向け、やさしく語りかける言葉には、私たち個人投資家の大人にとってもハッとするものがあります。
そんな同書の『はじめに』と、第4章『「人生」のこと』の一部を特別に公開します(全4回)。
※本稿は藤野英人著『14歳の自分に伝えたい「お金の話」』(マガジンハウス)の一部を再編集したものです。
投資で「お金」と「夢」をつなげていく
僕はもう30年以上投資家を続けているけれど、僕にとって投資というのは、もはや仕事という枠組みを超えて、人生の中心と言ってもいいぐらいの大きな存在になっています。それぐらい僕がのめり込んでいる投資について説明したいと思います。
投資家は「お金を持っている人」と「お金はないけれど、やりたいことがある人」をつなげる仕事です。
世の中には、お金をたくさん持っていて、すぐに使う予定がないという人がたくさんいます。特にシニア層はお金を使わずに貯め込む傾向があります。
一方で、夢はあるのに、実行するためのお金が足りないという人もいる。14歳の君はおそらくこっちだと思います。
専門用語で、前者を「黒字主体」、後者を「赤字主体」と言い、黒字主体から赤字主体にお金を流すことを「金融」と言います。そして、応援するに値する赤字主体を選んで、黒字主体から預かったお金を流す役割を果たすのが「投資家」というわけです。
お金を渡す方法の一つが、その会社が発行する株式を買うこと。
投資した会社が成長したら、株の価値が上がって、黒字主体に預かったよりも多くのお金を返すことができる。赤字主体はやりたかった挑戦ができて、黒字主体は資産を増やすことができる。お互いにとってすごくいい関係がつくれます。
投資家がよく言われる悪口として「お金ばかり扱っている虚業だ」というものがあるけれど、僕はそうは思いません。
夢を持つチャレンジャーに成功する道筋をつくれる、立派な実業だと、投資家の仕事を誇りに思いながら、毎日楽しく働いています。