僕が投資家になったワケ

投資について説明ができたついでに、僕がどうして投資家の仕事をするようになったのか、その理由についても話しておきます。

君は僕が投資家になったと聞いたらすごく驚くと思います。僕は今、14歳の頃には想像もしていなかった道を進んでいます。

大学に入った頃の僕の夢は裁判官か検察官になることでした。法律の専門家になって、正義のために法廷で闘いたい。そんな目標で、司法試験の合格を目指していました。

ところが、在学中に受かることができずに、とりあえずの〝仮面就職〟のつもりで入ったのが、野村投資顧問（現野村アセットマネジメント）という資産運用会社。２年くらいお金を貯めてから、もう一度司法試験を受け直そうという計画でした。

ところが、その計画は大きく変更されることになります。

僕が配属された中小型株を担当する部門で、毎日のようにお会いするベンチャー社長たちがとても魅力的だったのです。

地方の薬局店に過ぎなかった頃のマツモトキヨシや、５店舗しかなかった頃のドン・キホーテに投資をした後、会社が飛躍的に伸びていくダイナミズムにすっかり夢中になっていきました。

広島に本社があり、30店舗ほどの展開をしていた地方のアパレル会社は、社長がとにかくパワフルで話に引き込まれ、投資を決めました。すると、その会社が急成長をして、莫大な利益になりました。

その社長とは、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正さんです。

思いのある経営者に投資を決めて、成長を応援する――この仕事は面白いぞ！ そう気づき、夢中になるうちに、すっかり司法試験のことは忘れていました。

幸せなことに、あの頃に感じたワクワクを、僕は今でも日々感じています。

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14歳の自分に伝えたい「お金の話」

 

藤野英人 著
発行所　マガジンハウス
定価　1500円（税込み）