年金運用にとって株式投資は「副食」

連載の第2回では、企業年金の資産運用の「主食」は債券であることをご紹介しました。

しかし、日本の企業年金でも2008年のリーマン・ショックごろまでは、株式が「主食」だったのです。株式の価格変動の大きさが、長期安定運用を主眼とする企業年金のメインディシュとしてはふさわしくない、という判断が広まったわけです。

では各企業年金は現在、「副食」となった株式にどう取り組んでいるのか。今回は、その一端をご紹介していきます。

「副食」の株式をどれだけ持てばいいのか

私は今年2022年3月に朝日新聞企業年金基金を退任した後、かつての仲間とも言える各地の企業年金を取材し、その訪問記事を他の媒体で連載しています。

連載第2回で引用した企業年金連合会の「企業年金実態調査」(2020年版)では、運用資産の配分のうち国内外の株式は12%ずつ、合計で全体の24%というのが平均値でした。私の取材先でもおおむね20%です。最も比率の高いところで35パーセント、最も低い先はゼロでした。

ただ、株式比率35%の企業年金の理事長は「もう少し比率を下げたほうがいいという社内の議論がある」と言いますし、比率ゼロという基金の運用執行理事は「次の運用ガイドライン改定の際は、おそらく株式投資を復活させると思う」と話していました。どの企業年金も、株式保有の有無や「適正規模」について悩んでいるのが実態です。