インデックス投信と掛け捨て保険の組み合わせ、低コストで同じ効果
ただし、気になる点もある。当局が法制化も視野に入れる「顧客本位の業務運営に関する原則」(FD原則)との関係だ。例えば、7つある原則の2つ目には「顧客の最善の利益の追求」とある。
金融商品を提案する際の「顧客の最善の利益」とは何か。抽象的な問題なのでさまざまな議論があり得るが、外貨建て保険に対する当局内の考え方の1つを紹介すると、外国株式で運用するインデックス投信と掛け捨て保険を組み合わせれば、「より低コストでほぼ同じ経済効果を得られるはずで、この点を顧客に伝えるべき」という論理だ。
外貨建て保険のメリットは海外の資本市場で資産を運用しつつ、万が一のときの保障も得られること。こうした機能をセットにしたのが外貨建て保険だが、当局はこの機能を分解して運用はインデックス投信、保障は掛け捨て保険でカバーしたほうがコストの面で「顧客の最善の利益」にかなうとみている。
金融商品の販売員にとっては意外な発想かもしれないが、商品を販売せずにライフプランの作成や商品選定のアドバイスで対価を得ているフィナンシャルプランナー(FP)や助言業者の中には、こうした提案をしているケースがある。
FD原則の法制化の議論が進み、その過程で「より有利な代替案の提案」などが義務付けられれば、外貨建て保険のコストの高さ(あるいは不透明さ)が明らかになり、こうした商品を避ける顧客も現れるのではないか。