生保は証券より一枚上手か、生保協会がシートのひな形作成

ひとまず、仕組債は決着が付いた。そして、教訓も得られた。当局は仕組債のように「見えないコスト(スプレッド)」や「潜在的なリスク(ノックイン)」を抱える金融商品に強い不信感を持っているということだ。

この構図は保険会社の経費などに充当される付加保険料や中途解約時に元本が大きく毀損される恐れのある外貨建て保険でも同じだ。仕組債を叩いたならば、保険も叩かなければ行政の中立性に関わる。

話を重要情報シート導入の動きが始まった2年前に戻すと、金融庁は当初から仕組債を「販売するな」と主張していたのではない。重要情報シートを使って「情報を開示してほしい」といっていただけだ。それを拒んだため、販売停止に至った。

一方、保険業界は生命保険協会が外貨建て保険を対象とした重要情報シートのひな形を作成し、保険を扱う金融機関に提供するなど今のところ当局の意向に沿った動きを見せている。

このひな型に対して当局者は「不十分ながら、シートを出した事実は大きい」と受け止めている。つまり、仕組債のように一刀両断にできないということだ。こうした問題では保険会社のほうが証券会社よりも一枚上手のようだ。