老後2000万円問題が起因?20~30代の投信保有者が急増

次に注目したいのは、「投資信託を保有している人の割合」です。同レポートでは、2012年、2015年、2018年、2021年の各年において、20代、30代、40代、50代、60代、70代の各年代で投資信託を保有している人の割合がどう推移したのかをグラフで表示しています。

これによると、2018年に比べて2021年の状況は、20代と30代の投資信託保有者が大きく伸びている点が注目されます。これは、2019年に金融審議会市場ワーキング・グループが出した報告書によって、いわゆる「2000万円問題」が噴出し、世間の関心が老後資金に向いたからと考えられます。

ちなみに投資信託を保有している人の割合を、2012年から2021年までの推移でみると、20代、30代、40代、50代の各年代は年を追うごとに上昇傾向をたどっているのに対し、60代、70代についてはその傾向は見られませんでした。とはいえ60代の場合、2021年の割合は他の年に比べて最も高いので、やはり投資信託に対する関心は高まっているものと思われます。この理由のひとつとしては、やはり「人生100年時代」が意識されているからでしょう。

では、投資信託の購入理由はどうでしょうか。同レポートでは20-59歳と60歳以上で分けて、2012年から2021年にかけて、購入理由がどのように変化しているのかをグラフで示しています。

それによると、20-59歳までの購入理由で、2021年にかけて大きく増えているのは「長期にわたっての資産運用として」という回答比が大きく伸びており、全体の60%を占めています。それ以外では「比較的少額でも投資できるから」、「積立て投資ができるから」、「分散投資ができるから」の順になっています。

ちなみに各年の推移を見ると、「比較的少額でも投資できるから」の回答比はほぼ横ばいですが、「積立て投資ができるから」、「分散投資ができるから」という2つの回答比は2021年が最も高くなっており、この点から金融庁が提唱している「長期」、「積立」、「分散」投資が徐々に浸透しているように思えます。