<前編のあらすじ>

相談者の田所優子(50歳)さんは、夫の仁さん、娘の楓さん、息子の真くん、義母の多美さんと暮らす会社員。楓さんは仁さんと前妻の娘であり、いわゆる“ステップファミリー”です。

優子さんがFP相談を思い立ったきっかけは楓さんの大学費用。楓さんは東京の美術大学への進学を希望していますが、その費用どころか、そもそもの蓄えが仁さんにはないことが発覚しました。また、教育費の先にある夫婦の老後資金についても不安を感じています。

後編では、将来の収入の変化や退職金の見込み額を踏まえ、どのように教育費と老後資金準備をつくっていくか、その具体的について解説します。

●前編『「継子の大学費用、私がもつの…?」晩婚ステップファミリーが直面した“お金の問題”』はこちら

教育費をきっかけに夫婦でお金の話し合いを

最初に検討したいのが、共働き家庭によくある「お互いの財布の中身が分からない」問題の解決です。

仁さんはもともとお金の管理を細かくするタイプではなく、優子さん自身も忙しさから「黒字ならOK」とのスタンスで過ごしてきました。そして、ほとんど教育費の話し合いもしてこなかったとのこと。

仁さんがどんぶり勘定なのは問題ですが、生活費と教育費の負担が重かったこともお金を貯められなかった原因と考えられます。一方、優子さんは真くんが小学校に入学後は学童保育の保育料程度の負担で、毎月15万円を貯蓄してきたとのこと。さすがに楓さんの大学入学後に仁さんが生活費の他に学費や仕送りを一人で負担して、優子さんが今までどおりに貯蓄に励むのは難しいでしょう。

楓さんが大学に進学した後、真くんが大学に入学するまで、まだ10年あります。楓さんの大学在学中は優子さんも生活費を負担し、卒業後に真くんの学費と老後資金の準備を始めてもよいのではないでしょうか。楓さんの卒業後に毎年100万円ずつ5年間、真くんの教育費の準備をすれば、500万円の上積みができます。