地方の住宅地基準地価は下落。大都市圏からの移住者は振るわず…
移住という観点では、住宅地の基準地価を圏域別に見ると、傾向が分かるはずです。東京圏から地方圏への移住が加速すれば、それにともなって地価も上昇する可能性が高まるからです。
東京圏の基準地価は、2021年7月1日時点の0.1%上昇に続き、2年連続の上昇となり、かつコロナ前の上昇率を上回っています。
また地方圏のなかでも地方四市である札幌、仙台、福岡、広島は、東京圏よりもさらに活況で、2019年が4.9%上昇、2020年が3.6%上昇、2021年が4.2%上昇、そして今年が6.6%の上昇となっています。東京や大阪、名古屋といった大都市圏に準じる規模の経済圏を持つ地方都市には、ひょっとすると東京圏からの人口流入があるのかも知れません。
しかし、地方四市以外の地方圏は非常に厳しく、2019年が0.7%下落、2020年が1.0%下落、2021年が0.8%下落、2022年が0.5%下落となっています。
地方における住宅地の値崩れの原因は、明らかに人口減少の影響です。若い世代を中心に東京圏、大阪圏、名古屋圏などの大都市圏に加え、地方圏でも地方四市のような中核都市への人口流出が続く一方、大都市圏からの移住者は少なく、結果的に人口流出超の状態にあると考えられます。
あるいは高齢者中心の人口構成となっている地方においては、高齢者の自然死によって人口が減少するという現実もあります。高齢者が亡くなった後、住んでいた建物が空き家になり、それが地価下落に影響を及ぼしていることも、地価下落が続いている要因のひとつでしょう。
政府は、新型コロナウイルスの感染拡大を機に、「地方創生テレワーク推進運動」を打ち出していますが、これらの数字を見る限り、「都市部から地方への人の流れ」を加速させ、地方の活性化に貢献するには、相当の時間を必要としそうです。