コロナ禍を経て地方移住のニーズは高まった?
新型コロナウイルス感染の第7波が沈静化へと向かっています。一部では第8波への懸念の声も出ていますが、世の中の雰囲気はウイルスと共存していく方向に進み始めました。
振り返ってみると、新型コロナウイルスの感染拡大が2020年の年明けから本格化し、世界の主要都市では「ロックダウン」によって、経済活動は大きな停滞を余儀なくされました。
そして、その過程において人々の働き方にも、大きな変化が生じてきました。大企業を中心にテレワークが一気に普及。毎日、オフィスに出社する必要がないとなれば、通勤圏内に家を持つ必要は無くなります。極端な話、沖縄や北海道に住んでいても、東京都内のオフィスで働くのと同じパフォーマンスで仕事ができるようになったということです。このように、働き方の環境が大きく変わったことによって、地方移住が進むのではないか、という期待も芽生えました。
第一生命経済研究所ライフデザイン研究部主任研究員の稲垣円氏が書いたレポート、「コロナでは地方分散は進まない、と思う理由」では、調査対象全体の数字と共に、属性別の数字も出ています。属性別は「東京圏」「テレワーク経験者」「テレワーク未経験者」「東京圏・テレワーク経験者」の4つです。
数字を見てみましょう。「引越しに関心を持っている/関心を持つようになった」と答えた回答比ですが、2022年全体では18.5%であるのに対し、「東京圏」に住んでいる人は23.9%、「テレワーク経験者」が31.4%、「テレワーク未経験者」が15.8%、「東京圏・テレワーク経験者」が34.1%となっています。
このレポートは地方分散がテーマなので、ポイントになるのは東京圏に住んでいる人が、引越しを伴う地方移住についてどう考えているのか、ということです。確かに全体に比べて、東京圏に住んでいる人、とりわけ東京圏に住んでいて、かつテレワークを経験している人に、地方移住に対する関心の高さが伺われます。
ただ、これは同レポートでも指摘されていますが、「関心がない/関心がなくなった」という回答比が高いことです。2022年の全体では79.8%がそう回答しています。また属性別に見ると、「東京圏」の74.3%、「テレワーク経験者」の66.3%、「テレワーク未経験者」の82.4%、「東京圏・テレワーク経験者」の63.4%が、「関心がない/関心がなくなった」と答えています。