長兄が遺産を独占しようとする

ところが事は鈴本さんの期待していたようには進みませんでした。

長兄(60代後半)が「自分が遺産を全て引き継ぐべきで、弟たちにあげるものは何もない」と言い出したからです。根拠は以下の通りでした。

・自分たち家族は父親と同居して献身的に介護してきたから、遺産を多く受け取る権利がある。

・これからも自分たち家族が家を継いで守っていくから、財産は全部受け取るべき。

・現在父親の残した家に居住しており、自分たちが相続するのが当然。

鈴本さんは「今どき長男が全ての遺産を相続するなんて古くさい考え方は通用しないのでは?」と強い疑問を抱きました。

長兄が預金を使い込んでいた?

相続開始後に発覚した事実でしたが、どうも同居の長兄は父親の生前に父親名義の預金を使い込んでいたようです。開示された預金の取引履歴を見ると、時々50万円などのまとまった出金があり、父親のために使われた痕跡もありませんでした。

鈴本さんは「生前にお金を使い込んだなら、その分長兄は受け取る遺産額が減るはず。むしろ渡さなくていいのでは?」と疑問に感じました。

次兄は贈与を受けていて納得できない

鈴本さんにはもう1つ、疑問がありました。次兄は父親の生前、若い頃に父親から高額な資金援助を受けていたのです。「生前贈与を受けたなら、その分を遺産から差し引くべきではないか?」と考えました。

なお鈴本さん本人は自力資本で自営業を始めたのであり、父母からの支援は受けていませんでした。