相談でも「みなさん、どんな投資をしているのですか?」と聞かれることがあります。実はこれ、あまりいい質問ではありません。当たり前ですが、みなさんの働き方、ライフスタイルなど、置かれている環境はまったく違うものになります。 

自分にあった投資をして欲しいと思っているのですが、参考になるものはあった方がいいのは確かです。そこで今回は、『確定拠出年金統計資料』から、加入している方たちの動向をチェックしてみたいと思います。

『確定拠出年金統計資料(2021年3月末)』がどんなものかと言いますと、確定拠出年金の記録や運営管理をしているレコードキーパーと呼ばれる4社が、利用者の動向をまとめている非常に貴重な資料になります。

DCとiDeCo、若い世代では投資意識に違いが

まず、全資産を“預金などだけ”にしている方たちの割合ですが、約3割と言われています。 企業型確定拠出年金(DC)のデータしかないのですが、元本確保型のみで運用している方の割合は 32.1%だそうです。言い換えますと約7割の方は、金額の大小はありますが、投資をされているようです。ずいぶん、投資をしている人が増えて来ている印象です。

もう少し詳しくデータを見てみたいと思います。まずは年代別です。こちらは投資状況のグラフになります。

 

実は全体として見れば、企業型DCとiDeCoに大きな差はなく、残高の約45%が投資されています。ただ逆に言えば、約55%の資産は預金などの安定商品となっているのが現状です。

一方で、若い世代では投資の利用状況に差が出ています。特にiDeCo(個人型)を利用している方は、積極的に投資商品を選んでいるようです。企業型との差は、iDeCoの加入者は、かなり将来の積み立てに意欲的なのと、投資に対する理解度が高いからだと感じています。 

反対に企業型DCでの関心の低さは、強制的に加入しているという印象と、制度と投資に対する理解不足によると感じています。全従業員に、しっかりと制度や投資について説明をするのは、なかなか大変な業務かと想像できます。理解不足などの差が将来の年金に繋がるわけですので、FPとしても少しでもサポートが出来ればと感じています。