世界的にインフレ加速が進むなか、米国では今年9月21日に行われたFOMC(米連邦公開市場委員会)で、政策金利であるFFレートを0.75%と大幅に利上げすることが決まった。インフレを抑制するまで、利上げを継続するというFRB(米国連邦準備制度理事会)のパウエル議長の指針が再確認されることとなった。

しかし米国市場に関するニュースは金利動向だけでなく、消費者物価指数など様々な指標が定期的に報じられている。これらの経済指標について投資家はどう読み取ればいいのか。今回は米国の代表的な経済指標について解説していく。

経済指標は政策金利や株価とも密接な関係がある

物価安定を目的としてコントロールされる政策金利は、基本的にはインフレ率をみて方針を判断される。インフレ率が高すぎれば中央銀行は金利を引き上げて通貨供給量を減らし、物価高を抑制する。インフレ率が低すぎればその逆の動きとなるというわけだ。

しかし、中央銀行が注目しているのはインフレ率だけではない。インフレは、好景気により消費活動が活発になることで加速する。そのため定期的に調査される経済指標から国内の景気動向も見据えて、インフレ対策としての政策金利の方針を決定しているのだ。

具体的な指標の種類は後述するとして、中央銀行であるFRBによる2022年の積極的な利上げの背景には、経済指標が概ね堅調だったことも関係しているといえる。

そしてこの経済指標はFRBが設置された米国だけでなく、世界中の投資家にとっても相場を占う意味で重要な役割を果たす。

一般的に金利上昇は、資金が借りにくくなったり利払い負担が上昇したりと企業活動にブレーキをかけることや、債券などの利回り商品の魅力が増すことなどから、株価を下げる傾向がある。

経済指標はこうした政策金利に影響を与えるため、2022年の米国株式市場は各種速報の結果を受けて株価が下落する局面もしばしばみられた。

このように、経済指標は金利動向だけでなく投資市場の展望を見据えるうえでも重要な手がかりとなるのだ。