「自益権」は株主個人のための権利

自益権とは、株主が自身の利益のために認められた権利のこと。自益権の例として、以下の5つが挙げられる。

・利益配当請求権
・名義書換請求権
・株式買取請求権
・新株発行の差止請求権
・残余財産分配請求権

まず「利益配当請求権」とは、配当を受け取る権利のこと。配当は、後述する「株主総会」の決議で出すことが決まった場合に、所有している株式の数に応じて分配される。配当の受け取りは株式投資のメリットのひとつであるため、株主にとって重要な権利であるといえる。

株主が株式を第三者に譲渡した際に、株主名簿の記載事項を書き換えるよう企業に要求する権利が「名義書換請求」だ。株主であれば全員、名義書換請求を行う権利を有しているのだ。

株主は、企業による株式の発行や処分に対しても一定の権利を持つ。「株式買取請求権」では、株主が自己の保有する株式の買い取りを企業に求めることができる。ただし、この権利を行使できるのは「単元未満株式の買い取りを求める場合」と、「合併などの株主総会決議が行われた時に、議案に反対した株主が企業との関係を絶つために株式の買い取りを求める場合」のみと限定的である点に注意が必要だ。

また、企業が法令や定款に違反して新規で株式を発行しようとする場合、「新株発行の差止請求権」も行使できる。

さらに、企業が解散する際の株主の権利についても、認められている。それが「残余財産分配請求権」だ。残余財産分配請求権とは、企業が解散する際に余った財産の分配を受けられる権利のこと。負債の方が多かった場合は、残念ながら分配金はない。なお、企業が解散時に株主に分配される純資産(1株あたりの純資産)の大きさを株価と比べた指標として、「PBR(株価純資産倍率)」が参考になる。低ければ低いほど会社が解散したとき、株主に返還される資産が大きい。