6月に閣議決定された「資産所得倍増計画」では、NISA(少額非課税投資制度)とiDeCo(個人型確定拠出年金)の活用が盛り込まれました。

投資信託協会の調査(2021年12月実施)では、NISAの認知率は76.9%、iDeCoの認知率は62.9%と年々上昇しています。しかし、利用率は高くないのが現状です。NISA口座の開設率は28.4%、iDeCo口座の開設率は15.6%で、知ってはいても利用はしていない、という人が多い結果となっています。

制度の効率的な普及のためには、職域での利用促進が一つのカギとなりそうです。iDeCoは、本来的には「個人型」ですが、最近では職域での活用も増えているようです。

2018年5月からiDeCo+(イデコプラス・中小事業主掛金納付制度)がスタートしました。iDeCo+は、中小企業が従業員の老後所得準備の支援を手軽にできるもの、として誕生しました。企業年金を実施していない中小企業(開始時は従業員数100人以下。2020年10月から従業員300人以下に要件を緩和)の事業主が、iDeCoに加入している従業員の掛金に追加して、掛金を拠出できるもの、となっています。
iDeCo+は、「中小事業主掛金」として確定拠出年金法の「個人型年金」部分に規定されています。

「職場iDeCo」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。こちらは、iDeCo+とは異なって、法令で定められたものではなく、iDeCoの活用方法を指します。iDeCoの実施について、事業主が説明会を開催したり、申込手続きの手助けをするなど、会社が主体となって利用促進するもので、事業主払込を活用します。

なお、iDeCo+は、第一号厚生年金被保険者に対象を限定しています。つまり、民間企業を対象とした制度であり、第二号厚生年金被保険者の国家公務員や第三号厚生年金被保険者の地方公務員、第四号厚生年金被保険者の私立学校教職員はiDeCo+の対象外です。

そのため、公務員等が職域でiDeCoを展開する場合には、「職場iDeCo」を活用することになります。