〈前半のあらすじ〉
箕輪さん(仮名、30代男性)は「FIRE(早期リタイア)」を夢見る上場企業勤めの会社員。不動産投資に関心があり、本格的に始めようと不動産会社へ相談に行きました。
すると「利回り10%」という好条件の物件の提示が。箕輪さんは悩みましたが、営業マンの説明に納得し、妻も賛成したことから購入を決断します。
ところが、いざアパート経営が始まってみると、空き室や経費の発生で実際には10%の利回りは得られないことに気付きます。いろいろ調べると、不動産会社の提示する「表面利回り」と現実の「実質利回り」は全く異なる事実が判明したのです……。
●上場企業勤務の“エリート”がなぜ? 箕輪さんを納得させた営業マンの説明とは 前半の記事はこちら>>
表面利回りと実質利回りとは
表面利回りとは、設定された家賃が全額入金されることを前提に経費などを勘案せず純粋に家賃のみを基準として計算する利回りです。現実には固定資産税などの経費もかかるので、表面利回り通りの収益を得られる可能性はありません。
実質利回りは、各種経費や空き室などのリスクも考慮した現実的な利回りです。不動産会社は提示しないので、投資家が自分で研究してシミュレーションしなければなりません。
箕輪さんはこのような利回りの種類や違いについての知識がないまま不動産投資の世界に飛び込んだので、失敗してしまったのです。
箕輪さんの残念な結末
結局、箕輪さんの不動産経営は赤字になってしまいました。ローンを払えないわけではありませんが、毎月少しの持ち出しが発生してしまったのです。
確かに損益通算による節税にはなりましたが、節税できても赤字なら本末転倒です。「赤字になっても節税対策になる」という不動産会社の言葉に乗せられたのも、箕輪さんの失敗要因の1つだったといえるでしょう。