商標ビジネスで大成功
KISSのシングル、アルバムの総売り上げは1億1000万枚に上ります。また、150カ所を回るツアーでは1億ドルを稼ぐといわれます。これだけでも十分にスーパーロックバンドですが、KISSには他のバンドにはない大きな収入源があります。それは、「KISS」のロゴやメンバーのフェイスペイントのライセンス収入です。KISSはライセンス商品で累計約10億ドルを稼いできました。
ビジュアルを重視したKISSの戦略はライセンス商品との親和性が高いといえます。ジーンはいち早く商標ビジネスの可能性に気付き商標について勉強し、メンバーのメイクを商標登録したのです。他のメンバーは音楽活動以外の収入源を持つことに難色を示しました。しかし、結果的にグッズ販売はKISSのブランドを高め、ファンをロイヤルカスタマー化するのに貢献しました。今までライセンス化した商品は5000アイテム以上といわれ、フィギュアやお面だけでなく中には棺おけもあるそうです。
音楽以外のビジネスにも進出
KISSのオリジナルメンバーであるジーンとポールは70歳を超え、体力の限界から引退を決意しました。重さ18キロの甲冑(かっちゅう)のような衣装と高さ20センチのブーツを履いての激しいパフォーマンスは、摂生をしている彼らでも続けるのは難しいようです。しかし、2019年から続く最後のツアーは2022年になっても追加公演などが行われ、本当の引退はいつになるか分かりません。
KISSの活動が終わっても、ジーンのビジネスに終わりはありません。今まで手掛けた音楽以外のビジネスには、富裕層向けの保険会社やレストランの経営などさまざまなものがあります。常にアンテナを張り巡らせて次の目標を考える彼の姿は、まさにアメリカンドリームそのものといえるでしょう。
執筆/松田聡子
明治大学卒業後、ITエンジニア、国内生命保険会社での法人営業を経て、2007年より独立系FPとして開業。コンサルティングの他、企業型確定拠出年金講師や執筆活動に従事。人生100年時代を最後まで自分らしく生きるためのお金のアドバイスと情報発信がライフワーク。日本FP協会認定CFP、DCアドバイザー、証券外務員二種。