学生納付特例制度を利用する21歳の決意
さて、繰り返しになりますが、大学生が一番イメージしづらいのが老後資金。でも、みんな、20歳になっているので、実は多くの受講者は老後資金準備の第一歩を踏み出しているのです。もう、お分かりですよね? 「20歳になったら国民年金」、日本年金機構から国民年金加入のお知らせが届いていたかと思います。
でも学生にとっては、令和4年度で月16,590円、年間で約20万円の保険料負担は軽いとは言えません。知っておいて欲しいのは「学生納付特例制度」、所得が一定額以下なら、市区町村町役場の国民年金窓口や在学中の学校に申請して、保険料の納付を猶予してもらえるのです。
先日の授業でも、こんな説明をしましたが、学生の様子をうかがっていると、「そんなこと知ってるよ」的な余裕綽綽(よゆうしゃくしゃく)な顔が多かったように思います。20歳以上の学生の63.9%は学生納付特例制度を利用している、そんな調査結果※3を裏付けるような受講者の反応でした。ですので、私からは「皆さんの多くは、既に老後資金準備の第一歩を踏み出していますね。さすがです! でも、最後の詰めも怠らないでくださいね」と申し上げました。
※3 厚生労働省年金局「令和2年国民年金被保険者実態調査 結果の概要」(令和4年6月)
厳密に言えば、大学生向け、というよりは、大学卒業後に社会人になった20代の皆さまへのアドバイスになるのですが、最後の詰めとは、「社会人になったら国民年金の追納を!」ということ。学生納付特例制度は保険料の「免除」ではなく「猶予」です。老齢年金の受給資格期間にはカウントされますが、納付額がないので年金額には反映されないのです。でも、10年以内に追納すると将来の年金額に反映されますので、20代にとって国民年金保険料の追納は、老後資金準備の最後の詰めになるのです。追納しないと未納1年あたりで老齢基礎年金が約2万円減ってしまう、そんな金額もあわせて紹介したところ、以下のような感想がありました。
「私は学生納付特例制度を申請していますが、追納しないとどれくらいの影響があるのか知らなかったので、社会人になったら追納したいと思いました」
「私も学生納付特例制度を使用しているので絶対に忘れないように追納しようと思いました」
「今回の講義を受けて僕は年金は社会人になったらすぐに払った方が良いものだなと思いました。とても重要な情報だったので聞けて良かったとも思いました」
学生納付特例を利用している大学生であっても、「追納」はまだ自分事ではなかったようですね。でも、ちゃんと学生納付特例のことを知っているからこそ、遠い将来の老後のことでも自分事として考え、社会人になってからの決意表明をしてくれたのだと思います。そんな皆さまの将来に幸あれ、と願います。