今年に入って急速に円安が進んだこともあり、外貨建て金融商品に対する関心が高まっています。今年1月時点のドル円は1ドル=115円台。これが7月15日には1ド=138.50円前後の円安になったのだから、外貨建て金融商品のリターンはかなり向上したはずです。

円安が進めば外貨建て金融資産の収益は向上

たとえば外貨預金。1ドル=115円の時に1万ドルを外貨預金にすれば、1ドル=138円の円安で23万円程度の為替差益が得られています。現状、大手銀行でも外貨預金の利率は年0.01%程度だから、ドル建て元本が1万ドル程度では大した利息にもなりませんが、ここまで円安が進めば、為替差益によってトータルの収益が押し上げられ、注目されるのも当然でしょう。

そのせいか、なかには「金利上乗せキャンペーン」などと称し、扱っている外貨預金に高めの金利を設定し、資金を集めているネット銀行も少なくありません。
でも、ちょっと不思議に思いませんか。

インフレ懸念が強まるなか、米国の金利水準は上昇しました。米FRBは政策金利であるFFレートを引き上げている最中で、6月時点のそれは1.50~1.75%を誘導目標にしています。今年1月時点のそれが0.00~0.25%ことを考えれば、かなり急ピッチでの利上げといっても良いでしょう。

そのなかで、通常の店頭表示金利が年1.10%の外貨定期預金(3カ月物)を対象にして金利上乗せキャンペーンを実施し、年3.10%を提示している銀行もあります。
銀行にとって預金は、「負債」に該当します。銀行は預金を通じて資金調達をし、その資金を企業などの貸し出しに回して運用し、その金利差を収益にしているのです。そう考えると、たとえ3カ月ものとはいえ、ドル建ての外貨預金が年3.1%の利率であることの不自然さに気付かれるのではないでしょうか。