充実した老後を送るために、資産運用などによって「資産寿命」を延ばすことも大切ですが、日常生活を制限なく送れる「健康寿命」も同様に重要です。

医師の鎌田 實氏は、介護保険のお世話にならず、何歳になっても自分の足で行きたいところへ行ける元気な体を手に入れるには、筋トレをはじめとする運動で筋肉を増やす“貯筋”が必須と言います。著書『疲れない 太らない ボケない 60代からの鎌田式ズボラ筋トレ』ではご自身も実践し、運動が苦手な人でも続けやすい20のズボラ筋トレを紹介しています。

今回はそんな『疲れない 太らない ボケない 60代からの鎌田式ズボラ筋トレ』より、貯筋の重要性について解説する第2章を特別に公開します(全4回)。

●第1回はこちら

※本稿は鎌田 實『疲れない 太らない ボケない 60代からの鎌田式ズボラ筋トレ』(エクスナレッジ)の一部を再編集したものです。

「貯筋」の指導をしたら、3年間でフレイルゼロに

フレイルを防ぐには、筋肉を増やす運動や食事をして、日頃から「貯筋」しておくことが必要です。

僕は4年ほど前から、佐賀県で「がんばらない健康長寿実践塾」を開催しています。塾生は40~80代の中高年が多く、それぞれの体力に合わせて、貯筋のための運動や食事などの生活習慣を指導しています。

塾生約1000人の筋力や運動機能、認知機能などは、西九州大学リハビリテーション学部の大田尾 浩(おおたお ひろし)教授が定期的に測定し、データ化しています。

それをみると、1回目の測定ではフレイルの人が何人かいたものの、5回目には1人もいなくなっています。また、フレイルの前段階であるプレフレイルという状態の人も減少しました。

また、認知機能もほとんど変化なく推移しています。3年間、年を重ねているにもかかわらず、認知機能が維持されているのは、運動の効果があったと評価できるのではないでしょうか。

ところが、最近の塾生たちのデータで、1つ気になる項目がありました。それは「握力」の項目です。

コロナの流行が始まった2020年の前半は、それほど握力の低下がみられませんでした。ところが、その後のデータをみると、塾生たちの握力が低下していることがわかりました。

それとともに、塾生たちの腹筋や下半身の筋肉も若干ですが、低下傾向がみられました。

もしかしたら、コロナ禍の影響もあって、塾生たちは以前のように十分な運動ができなくなっているのかもしれません。握力の低下はそのことを反映している可能性があるのです。