若者の「投資家マインド」を育む投資・金融教育を推進
三番目の柱になるのは、「投資教育・事業教育」です。ファンドの運用クオリティ向上と受益者の満足度向上を通じて、おおぶねシリーズやNVICの魅力を高めるのと共に、もうひとつ私たちがこれから力を入れていくのは、これからの日本を支える若者や子供たちに、「投資家マインド」を持ってもらえるような投資教育を行っていくことです。
2000兆円を超える個人金融資産のうち、52%が現預金に集中しているのが、日本の現状です。それは、自分が持っているお金をどのように活用していけばいいのか、ということについて、「わからない」あるいは「きちんと考えたことがない」という人が多数を占めることの何よりの証拠でもあります。その状態で子供たちが大人になったら、他人に働いてもらうという「投資家」としてのマインドセットは醸成されることなく、「労働者」として自分で働いて稼いだお金だけで生きていくしかありません。
今から50年、あるいは60年前の日本で生きてきた人は、労働者としての人生でも十分に幸せでした。それは、日本という国が戦後発展途上で伸び盛りだったからです。
でも今はどうでしょうか。GDPはもう30年近く横ばいです。加えて超高齢社会と少子化の加速により、人口はどんどん減っていきます。下手をすれば、未来のGDPは横ばいどころか、どんどん下がっていくことも考えられます。そのような時代に労働者マインドしかなかったら、報われない生涯を送ることになります。そうならないようにするためにも、私たちは日本の未来を担っていく子供たちに、投資家マインドを持つことの大切さを教えていかなければなりません。
NVICは、2022年4月から高校家庭科の授業で金融教育が必修になったことに合わせ、高校の先生に教科書の補助教材として使用して頂ける金融教育の教材を開発し、全国の先生に無償で提供しています。(※参照:NVIC公式ウェブサイト)。
先生の中には、「金融の知識、ましてや投資の経験がないのに、子供に教えることが出来るのだろうか」という不安の声があると聞いたので、金融の知識や投資経験が無くても「投資とは何か?」ということを理解できる内容にしました。その目指すところは、投資というのは金融投資だけでなく、特に高校生にとっては自己投資の方がより重要であることを理解してもらうことにあります。
資本主義の本質は、お金を持っている人が、そのお金を然るべきところに投じることによって、世の中をより良いものにしていくことにあります。そのお返しとして受け取る「お金」というのは「ありがとう」の印であり、問題解決の対価なのです。
金融教育を通じて、一人でも多くの子供たちがそのことを理解し、投資家マインドを持つようになれば、日本の未来は確実に開かれていくでしょう。
NVICは、株式投資を通じて人々の資産形成に寄与するのと同時に、日本人の多くが抱いている労働者マインドを、投資家マインドに変えることによって、より豊かな日本を創造する一助になることを目指しているのです。
経済の力で国民を豊かにする、この「経世済民」の哲学こそが農林中金バリューインベストメンツがこれから50年先も100年先も生き残っていくための存在意義(レゾンデートル)なのです。
(おわり)
取材・文/鈴木 雅光(金融ジャーナリスト)