昨今の米国株市場の調整は、日本の個人投資家向けに販売されている投資信託の勢力図にも変化をもたらしている。今回は、昨年6月に純資産残高1兆円に到達し、今や国内公募投信で最大の残高を誇る「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」(以下「米国成長株D」)の足元の傾向と、そこから見える投信販売の課題について掘り下げていきたい。

基準価額の上昇と高分配で人気を集めた「米国成長株D」

「米国成長株D」はファンドの名称通り、毎月の決算で支払われる分配金の額が、決算期末の基準価額の水準に応じて決まる「予想分配金提示型」だ(予想分配金提示型の仕組みについて詳しくは、「意外に知らない分配金の仕組みと、新潮流『予想分配金提示型』とは?」を参照)。2020年から2021年末にかけ、基準価額が順調に右肩上がりで上昇を続けてきた中、毎月コンスタントに200~300円(1万口当たり。以下同)の分配を実施していたことで人気に火がついた。しかし、2022年以降は基準価額の下落とともに分配額も引き下げられ、3月、5月、そして直近6月と、6回迎えた決算のうち3回で分配が0円となった。

先述した通り、予想分配金提示型の分配金の水準は、毎決算期末の基準価額の水準に応じて決まる。従来型の毎月分配型投信で問題視されていた、実力以上の分配を回避するための苦肉の策とも言えるが、分配方針の透明性が高いことは、投資家目線に立てば良いことと言えるだろう。