保有期間が長いほど、レバレッジの効果は薄らぐ
さて、先述した基本的な仕組みを把握したうえで、レバレッジ型ETFが長期投資に向いているのか、それとも不向きなのかを検証してみましょう。
結論から言えば向いていません。なぜなら2倍、3倍というレバレッジはあくまでも前営業日の基準価額に対して2倍、3倍のレバレッジで基準価額が動くように設計されているからです。
その結果、保有期間が長くなるほど、かつその間に連動目標となる株価インデックスが上下するほど、レバレッジの倍率が薄らいでしまうのです。
グラフは10日間のTOPIXの値動きに対して、2倍のレバレッジ倍率を持つETFの基準価額をシミュレーションしたものです。起点の価格を両者とも100ポイントとし、10日間でTOPIXは上下を繰り返しつつ、100ポイントから102.10ポイントまで上昇しました。この間の上昇率は2.10%です。
これに対して、2倍の連動率を持つレバレッジ型ETFの基準価額は、同じ期間中に100ポイントが103.66ポイントに値上がりしたので、この間の上昇率は3.66%です。
本来、2倍のレバレッジであれば、10日間でTOPIXが2.10%上昇したのですから、4.20%上昇しなければおかしいはずです。でも、実際には3.66%しか上昇していないのです。
恐らく中には「いくら何でも基準価額が0円になるような確率は低いが起きると影響の大きいテールリスクが実現する確率は限りなく低いから、ずっと保有して10年後、20年後にTOPIXが2倍になれば、自分が持っているレバレッジ型ETFは4倍になるはず」と思って、長期保有を決め込む人もいるでしょう。
確かに、一直線でTOPIXが上昇すれば、そうなります。でも、マーケットは上昇・下落を繰り返しますから、そのような都合の良い結果にはなりません。ボラティリティ(変動率)の程度にもよりますが、TOPIXの値ぶれが大きくなると、長期投資した際のレバレッジ倍率は劣化していきます。したがって、この手のレバレッジ型ETFは、長期投資には不向きということになります。