大和総研のホームページに定期掲載されているコラムで、同社理事の望月衛氏が「検証:レバレッジ型ETFへの長期投資」と題し、レバレッジ型ETFについて検証しているので、これを今回のテーマに取り上げたいと思います。
連動指数の2倍、3倍を狙えるレバレッジ型ETF
すでにご存じの方も多いとは思いますが、レバレッジ型ETFの基本的な商品設計について説明しておきましょう。
たとえば東証株価指数(TOPIX)を連動目標とするETFは、TOPIXが2%値上がりすると、ETFの基準価額もそれとほぼ同率で値上がりするような運用を行います。基準価額とは、受益権1口あたりの純資産総額を指します。純資産総額は、ETFに組み入れられている資産の時価総額ですから、TOPIXが2%値上がりすれば、TOPIXにほぼ連動するポートフォリオを持つETFの純資産総額も2%近い上昇となり、結果、基準価額もほぼ2%上昇する、という仕組みです。
ただしETFの場合、1日に1回基準価額が算出される非上場型の投資信託とは違い、株式市場でリアルタイム売買が行われています。このリアルタイム売買に際しては、基準価額ではなく、上場市場における需給バランスで形成される「市場価格」で取引されます。
したがって、基準価額と市場価格が全く同じ値動きをするとは限られておらず、両者の価格形成が乖離するケースも想定されます。
本題のレバレッジ型ETFは、連動目標となる株価インデックスの上昇・下落率に対して2倍、あるいは3倍という倍数で、基準価額の上昇・下落率が実現するように設計されています。つまり、TOPIXが2%上昇した場合、TOPIXに対して2倍のレバレッジを掛けているレバレッジ型ETFの基準価額は、4%程度上昇するのです。