小売を襲う「アマゾンエフェクト」とは

アマゾンはその影響力から「アマゾンエフェクト」と呼ばれる現象も引き起こしました。アマゾンの企業活動によって引き起こされるさまざまな影響の総称で、特にスーパーや百貨店といった既存の小売店の業績悪化を招いたとされています。消費の場がリアルからインターネットへ移ったことで、実店舗で商品を販売する小売店には打撃となりました。

さらにアマゾンは実店舗の経営にも乗り出します。2015年に書籍を対面で販売する「アマゾン・ブックス」を出店し、2017年には食品スーパー「ホールフーズ・マーケット」を買収しました。インターネットで覇権を取ったアマゾンが実店舗でもシェア獲得を目指す構図で、既存の小売店におけるアマゾンエフェクトは今後も吹き荒れそうです。

もっとも、コロナ禍における実店舗経営はアマゾンにとっても試練だったのかもしれません。2022年3月、アマゾンは戦略の見直しに伴いアマゾン・ブックスを含む3つの実店舗ブランドの閉店を発表しました。

アマゾンが現在持つ実店舗ブランドは、レジがないコンビニとして話題を集めた「アマゾン・ゴー」、生鮮食品店の「アマゾン・フレッシュ」、アパレル店「アマゾン・スタイル」の3ブランド、そして2017年に買収したホールフーズ・マーケットなどです。アマゾンはリアルでも覇者となれるのか、注目しておきましょう。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。