プロの投資家は仕組債をどう活用しているのか

当レポートでも指摘されているように、仕組債の損益曲線はプット・オプションを売った場合の損益曲線に似ています。では、プット・オプションを売ることがそこまで不適切なのかと言えば、必ずしもそうではありません。

一般的にオプション価格を決める基になっているインプライド・ボラティリティ(予想変動率)は、実際のボラティリティよりも高くなっている傾向があります(プット・オプションの買い手は市場下落に対する保険として、多少割高でも購入します)。つまり、プット・オプションは割高になっているため、それを売ることで手厚いオプション料を得ることは、ある意味でオプション市場に残る非効率性を利用した戦略であり、リーズナブルな投資行動とも言えます。低金利環境で十分なクーポン収入が得られない今の時代において、それを補うものとしてこのオプション料は魅力的であり、高インカムを狙うマルチアセット戦略などではこれを活用しているものもあります。

ただし、株式市場の変動性が高くなると損失を被ることになるため、通常は限定的な活用にとどめ、しっかりリスク管理をしています。このように、人材、体制が整っているプロの投資家が、インカムを補うツールとしてプット・オプションの売りを限定的に活用するのは、理にかなっていると思います。