米ドルが基軸通貨の地位を占める以上、中国も含め他国は米国の意向に従わねばいけません。さもなければ米ドルの使用を禁止され、経済的に大きなダメージを受けてしまいます。
これを避けるため、中国は第二の基軸通貨に人民元を据えたい意向があると考えられています。人民元が国際的に広く使われるようになれば、仮に米ドルの使用を禁止されても人民元で取引を継続できるからです。アジアインフラ投資銀行は、人民元建ての融資を通じて人民元の流通量を増やす足がかりと考える人もいます。
人民元は2015年に特別引出権(SDR)(※)に初めて採用されるなど、これまで国際的な地位を高めてきました。まだ米ドルには遠く及びませんが、今後は差が縮まるかもしれません。
※特別引出権(SDR):国際通貨基金(IMF)が出資比率に応じて加盟国に割り当てる仮想の通貨。5つの通貨で構成され、加盟国は特別引出権と引き換えに米ドルなどを調達できる。また、国際通貨基金は危機に陥った国をSDR建てで支援する。
【特別引出権(SDR)の構成比】
出所1:国際通貨基金(IMF) ファクトシート
出所2:国際通貨基金(IMF) プレスリリースNO.22/153
【米ドルと人民元の値動き(2022年1月3日~6月22日)】
執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。