IPO投資はなぜ利益をあげやすいと言われるのか
IPOでは事前に投資家へ株式が販売される。この株式を「IPO株」といい、IPO株を抽選で手に入れて上場後すぐの初値で売却する投資方法をIPO投資と呼ぶ。
IPO株の価格は公募価格と呼ばれ、事前に購入申込者が申請した購入希望価格のうち、最も申告の多かった価格が採用される。購入希望価格には上限が決められており、上限価格が公募価格になるケースが多い。というのも、採用価格以下で申請した希望者は後述する抽選に参加できなくなるためだ。
IPO投資には投資家にとって大きく3つのメリットがある。
(1)利益を上げやすい
(2)低いコストで取引できる
(3)高成長の企業に投資しやすい
第一に利益を上げられる可能性が比較的高い点。
繰り返しとはなるが、新規上場する企業の公募価格は申込時の上限価格に設定されることが多い。この際、上限価格は売れ残りの出ないように割安に設定されるケースがほとんどだ。
また、IPO株は将来的な成長や株価上昇の期待感から市場の注目を浴びやすく、売り出し直後は買い注文が殺到する傾向にある。そのため、初めて市場で売買取引が成立したときの価格である「初値」は、公募価格を大きく上回るケースが多いのだ。
実際に2021年に新規上場した125社のうち102社は、初値が公募価格を上回っており、IPO投資は短期間で大きな利益を狙うことができる投資手法といえる。また、こうした実績から「IPO投資の勝率は8割」とも、ときには「9割」といわれることもある。
第二にローコストで取引が行える点。通常、株式の売買には売買手数料が発生するが、IPO株の購入には手数料がかからない。ただし、公募価格のなかに証券会社への手数料がすでに含まれていること、上場後に売却する際には売買手数料を支払う必要があることには注意が必要だ。
また、証券会社の中には一般NISA口座でのIPO投資を受け付けているところもある。一般NISA口座を使えば、一定額内で購入した分の売却益はすべて非課税となる。一般NISAの枠に余裕があり、なおかつIPO投資をするのであればぜひあれば活用したいところだ。
最後に、高成長の企業に投資しやすい点。前述のように、市場に新規上場する企業は証券会社による成長性や社内体制の審査を通過している。また、新興企業など歴史が浅い企業が多いことから、上場後の業績急拡大にも期待できる場合もある。初値で売らずに株式を保有し続け、将来的に株価が何倍にも上がったタイミングで売却するという選択肢もあるのだ。