当選確率は1~2%とも…IPO株の購入には抽選が必要

IPO投資は証券口座やNISA口座で行うことできるが、通常の株式取引と異なる点がいくつかある。

(1)購入のために抽選が必要
(2)抽選に参加している間は購入資金が拘束されることが多い
(3)初値が公募価格を下回る可能性もある

まず、(1)の抽選について。IPO株を購入するには、購入権を獲得するための抽選が必要となる場合がほとんどで、当選確率は1〜2%程度とも言われている。

また、証券会社によって配分数量や抽選方法が異なる点にも注意が必要だ。配分数量は、多い証券会社ではIPO株全体の8割程度を引き受けるが、少ない証券会社での引き受けは数%にとどまる。

抽選方法は、証券会社によっても異なる。実店舗を持ち、対面での取引を行う証券会社では、担当者が普段からの付き合いでIPO株を譲る「裁量配分」が行われることが多い。

一方、ネット証券では誰でも同じ確率で当選する完全平等抽選を実施していることがほとんどだ。ネット証券の中には「抽選に外れた際に獲得するポイント」で当選確率をアップさせることのできる枠を設けている証券会社もある。

ネット証券の場合、申し込み自体は各証券会社のウェブサイトから行える。また、申し込みは一つの証券会社につき1回までだが、申し込みを行う証券会社の数に制限はない。当選確率を上げたいのであれば、複数の証券会社を利用するのも手だ。

次に、(2)の資金拘束について。IPO投資では事前に投資資金を証券口座に入金しておく必要があるほか、一部の証券会社以外では、抽選の結果が出るまでは購入資金額を動かすことができない。一般的に、抽選結果が出るまで1〜2週間かかるので、その間に別の魅力的な投資先を見つけたとしても、十分に資金を回せない可能性がある点は踏まえておこう。

そして、(3)の公募価格割れの可能性について。IPO投資は「必ず利益が出る」ことが約束されているわけではない。例えば、2018年に上場したSoftbank(9434)は、公募価格1500円に対し初値は1463円と、約2.5%下回った。

公募割れの可能性が高い銘柄には、「発行株数が多い大型銘柄」「事業内容に目新しさがない」「直近の決算が赤字である」といった特徴があげられる。業界の市場状況や近年の財務状況は自分でもしっかり確認するようにしたい。また、上場直前に企業名を変更しているケースにも注意が必要だ。旧社名のマイナスイメージを払拭するために改名された可能性も考えられるためだ。

IPO投資では、抽選期間(ブックビルディング期間)の後に購入申し込み期間を設けている証券会社もある。申込期間内であれば、当選を辞退することができるため、リスクを感じたら辞退するのも選択肢といえる。

IPO投資は余剰資金で

IPO投資は抽選に当たれば公募価格と初値の差額で大きな利益を狙うことができる、人気の投資方法のひとつだ。

しかし、銘柄によっては初値が公募価格を下回り、損失を被るリスクもあることには留意したい。また、短期売買の傾向が強く、将来のライフイベントや老後の備えをつくるための方法としては向いていないだろう。

人生で必要になる資金は積立投資などの安定運用で形成し、IPO株はあくまでも余剰資金で楽しむようにしよう。

 

文/笠木渉太(ペロンパワークス)