金利上昇はグロース株にとって向かい風の場合も

割高なグロース株と割安なバリュー株。対照的な性質を持つ両者だが、金利動向に対しても異なる動きをする傾向がある。一般的には金利が上がるとバリュー株が、下がるとグロース株が優位になると言われている。

金利上昇局面でグロース株が不利になる理由のひとつには、債券との利回りの差が小さくなることがあげられる。極端な例ではあるが、同じ期待リターンでリスクの異なる金融商品がある場合、基本は低リスクの商品を選んだほうが無難だ。

どこまでリスクを許容するかは個人によって変わるが、株式よりも低リスクとされている債券のリターンが向上した場合、株式の魅力は相対的に低くなる。金利上昇局面ではとくにリスクの高いグロース株が売られやすいと考えられているのだ。

また、市場金利の上昇は企業にとって資金調達コストの増加に繋がる。企業は借り入れを控えるため事業拡大にブレーキがかかり、業績の悪化や下方修正も予測される。そのため、企業の成長を期待してリスクを取るグロース株よりも、より低リスクのバリュー株や利回りの上がった債券などを選ぶ投資家が増える。

反対に、市場金利が下がれば企業は資金を調達しやすくなり、企業の事業拡大も加速する。高い成長性が強みのグロース株にとっては有利な地盤が整うというわけだ。

ただし、金利上昇局面は「長い目で」見れば、グロース株にとっても好材料となる側面も持つ。

通常、利上げは物価が上昇するインフレへの対策として行われる。インフレには好景気のなかで発生する『良いインフレ』と、不景気にもかかわらず物価が上昇する『悪いインフレ』がある。

良いインフレ状況下、つまり好景気では商品やサービスの需要が増し、企業の収益が増加する。企業は事業を拡大し、雇用も増加。家庭の収入が増えることで消費も促進され、さらに企業の収益アップにつながるという循環が生まれる。

好景気による企業の収益拡大はグロース株とバリュー株の両者に共通して言えることだ。長期保有の観点からすれば、利上げに反応したグロース株の売却は避けた方が無難だろう。