成長を織り込むグロース株と安定重視のバリュー株

冒頭でも触れたが、直近5年で売上高を3倍近く、株価も5倍上昇させてきたNetflixはグロース株に分類できる。

改めてとはなるが、株式投資の世界には『グロース株』『バリュー株』という考え方がある。

グロース株は成長株とも呼ばれ、おもに売上げや利益の成長率が高く、将来的な株価の上昇が期待できる銘柄を指す。例えば、Netflixのような社会の構造改革によるニーズの変化を捉えて業績を伸ばした企業や、Appleのように革新的なサービスの提供で新市場を開拓した企業などはグロース株に該当するといえる。

将来の成長を織り込んでいるため、購入時点の株価は割高に設定されているケースも多い。しかし、グロース株は株価が数年で何倍にも上昇する可能性を秘めている。投資家は大幅な値上がり益を期待して投資を行うというわけだ。ただし、今回のNetflixのように企業の成長が予想を下回った場合は株価が急落し、大きな損失を被るリスクもある点には留意したい。

なお、グロース株は経営の効率性を示す指標『ROE(自己資本利益率)』によって判断されることが多い。一般的には、ROEが10%を超える企業は成長性が高いと見なされる。米国を代表するグロース株のAppleのROEは2022年5末時点で約150%。まだまだ市場はAppleの成長を期待しているといえるだろう。

一方、バリュー株とは成長があまり期待できない、企業の知名度が低いといった理由から、株価が本来の企業価値と比べて割安に設定されている銘柄だ。株価が低く見積もられている性質から、割安株と称されることもある。

成長見込みが薄いといっても、自動車や金融など、すでに成熟した業種のために伸び代が見込めないだけで、実際には業績や収益は安定している企業が多く該当する。

バリュー株はグロース株に比べて値動きが緩やかで、堅実な経営を続けていることから配当利回りも高い傾向にある。バリュー株への投資は将来、市場から適切に評価され、株価が企業価値に追いつくことを見越して行われるケースも少なくない。

株価が割安かどうかの判断は『PBR(株価純資産倍率)』がひとつの指標となる。一般的にPBRが1倍を下回ると割安、超える場合は割高であるとされている。ほかにも、株価が1株当たり純利益の何倍かを示す『PER(株価収益率)』も参考となる。こちらの場合、15倍未満になると割安な銘柄とされる。

ただし、このほか業種・業態によって指標の水準は変わるので、あくまでひとつの目安としたい。