非農業漁業を中心に、副業率は今後大きく上昇の可能
意外なことに、副業率の数字は2017年が4.0%で、2012年の3.6%に比べて上昇しているものの、1997年の4.9%からすれば下がっています。まだ2022年の「就業構造基本調査」が公表されていないので、直近における状況は反映されていません。ただ想像するに、2017年3月に公表された「働き方改革実行計画」で副業・兼業が容認されたため、これから公表される最新の就業構造基本調査では、副業率が上昇に転じている可能性があります。
ちなみに、1997年から2012年にかけて副業率が低下傾向をたどったのは、「兼業農林漁家」の比率が大きく落ち込んだからです。1997年時点における兼業農林漁家の副業率は2.0%でしたが、2012年には0.8%まで低下しました。2017年の兼業農林漁家の副業率は0.7%で、若干下げ止まった感はあります。
その一方で「非農林漁業」の2017年における副業率が、2012年の2.6%から大きく伸びて3.1%になったことが、全体の副業率の押し上げにつながったと考えられます。実際、副業希望率は1997年の4.9%から、2017年には6.4%まで上昇しており、この人たちが実際に副業を始めると、副業率は非農業漁業を中心にして今後、大きく上昇する可能性があります。
次に副業率を年収別に見ると、年収1000万円以上の高額所得層と、年収200万円以下の低所得層の双方で副業率が上昇していることが確認されています。
これは実際、職業別に副業率の高低を見るとよく分かります。副業率の高い職業のうち、「管理的公務員(政治家など)」、「経営専門職業従事者」、「会社・団体等役員」、「医師(歯科医師、獣医師は含まない)」などは、どちらかというと高額所得層ですし、一方で「音楽家、舞台芸術家」、「その他の専門的・技術的職業従事者」などは、一部に高額所得者もいますが、そこの仲間入りをするのは非常に難しく、多くは低所得層です。