国が後押しする副業・兼業。働き方改革実行計画の公表から5年目の実態

皆さん、「副業」の経験はありますか。もしくは副業の経験はないものの、一度は経験してみたいと思っていますか。独立行政法人労働政策研究・研修機構が定期的に刊行している「ビジネス・レーバー・トレンド」の5月号では、2022年1月に開催された労働政策フォーラムでの各種報告、基調講演の内容を再構成したものが掲載されています。そのなかで、東洋大学経済学部経済学科の川上淳之教授が、「副業の実態と課題」というテーマで、さまざまな資料を用いながら、副業の現状についてまとめています。興味深いデータも少なくないので、その一部を取り上げながら解説していきましょう。

これまで多くの企業が副業を原則禁止にしてきました。それが解禁されたのは、2018年1月に厚生労働省が「モデル就業規則」で、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」とした一文を削除して、新たに「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」と規定を新設したからです。

この「モデル就業規則」とは、厚生労働省が作成している、会社が就業規則を作成する時に参考にするための資料で、常時10人以上の従業員がいる会社の場合、就業規則を作成して、労働基準監督署に届け出ること義務付けられています。

このように、モデル就業規則が見直されたのは、2017年3月に首相官邸が公表した「働き方改革実行計画」において、「柔軟な働き方がしやすい環境整備」が盛り込まれたからです。そこに「副業や兼業は、新たな技術の開発、オープンイノベーションや起業の手段、第2の人生の準備として有効」と記されました。

働き方改革実行計画が公表されてから5年。副業の実態はどうなっているのでしょうか。川上教授が作成したデータを参考にしながら、考えてみたいと思います。