商品やサービスを提供する側とされる側の間に存在する情報格差「情報の非対称性」は、資産運用の世界にも存在します。では、この「情報の非対称性」が存在することで、個人投資家が気をつけるべきなのはどんな点なのか? 『Finasee(フィナシー)』を運営する想研の専務取締役である菊池裕が解説します。

※この記事は、2022年3月に実施したフィナシー・資産づくりセミナー「医者と患者の関係で例える『情報の非対称性』とは」をダイジェストにして記事化したものです。

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「情報の非対称性」が手数料稼ぎに利用される?

——「情報の非対称性」とはどういう意味でしょうか。

たとえ話を使ってご説明しましょう。皆さんは、「風邪を引いたかな」と思ったらどうしますか? 暖かくしてよく寝て治そうとする方や、市販の総合感冒薬を服用する方もいらっしゃると思いますが、かかりつけ医のお世話になるのが一般的ではないでしょうか。医師には自分の症状を伝え、診察後に処方箋を受け取るわけですが、その薬の良し悪しを疑うことはないと思います。症状が未知のものであればなさおさらそうでしょう。なぜなら、患者には薬についての専門的知識がないからです。

このように、商品やサービスを提供する側とされる側の間に存在する情報格差のことを「情報の非対称性」と言います。

——資産運用の世界における「情報の非対称性」については、どんな問題があると考えていますか。

金融商品には難しいものもあり、営業担当者と顧客との間には明らかに情報の非対称性が存在しています。情報の非対称が存在しても、医師に対しては「最善の薬を処方してくれている」という信頼感がありますが、金融機関の場合、営業担当者の業績評価において、手数料収入がまだ重視されている場合があることが課題だと思います。

もし手数料収入が自分のキャリアやボーナスの査定に関係するとしたら、あるいは自分のせいで支店やチームの目標達成が危うくなったとしたら、その営業職員はどうするでしょうか? 顧客にとって必ずしも必要とは言えない提案をしてでも、手数料を獲得したくなる誘惑に駆られてもおかしくないと思います。

金融機関はこのような弊害をなくすため、手数料重視から預かり資産の残高に連動してフィーを得るモデル(顧客の資産が増えれば金融機関の収入も増える仕組み)を取り入れるなど試行錯誤していますが、投資家側も賢くなる必要がありそうです。

また、金融庁でも「情報の非対称性」を埋めるための取り組みを始めていますので、別の機会にご紹介したいと思います。