遺言書作成の際の留意点
自筆証書遺言のときは、まず 「誰に何をいくら」相続させるかということを明記する必要がある。例えば、預金を子供たちで分けるようにとの表現だけでは、紛糾してしまう。また「渡す」や「管理させる」などの言葉は、相続の意味とならず効力がない。まずは、明確な表現が求められる。
法定相続分に対して配分が少ない相続人には、いわゆる遺留分を請求する権利がある。法定相続分の2分の1は、たとえ遺言書に記載がなくても請求できる権利だ。例えば、配偶者と子供2人の場合、子供の法定相続は相続財産の2分1であるので、遺留分は2分の1の半分の4分の1となる。紛糾させないためにも、最低でもこの比率を上回るような配分を明記することが必要だ。
一方、故人の介護に従事した家族がいたり、生前に財産の一部を与えた人がいる場合などは、公平性を期すべく法定相続分から、応分の増減をすることも必要だろう。
遺言書の最後に、相続人に伝えたいことを文章として残すことも肝心だ。遺産を分ける際の考え方や家族への感謝の言葉などを添えることで、相続人が納得して財産分与を進める事例が多いそうだ。
執筆/大川洋三
慶應義塾大学卒業後、明治生命(現・明治安田生命)に入社。 企業保険制度設計部長等を歴任ののち、2004年から13年間にわたり東北福祉大学の特任教授(証券論等)。確定拠出年金教育協会・研究員。経済ジャーナリスト。著書・訳書に『アメリカを視点にした世界の年金・投資の動向』など。ブログで「アメリカ年金(401k・投資)ウォーク」を連載中。