販売窓口によっても料率が違う購入時手数料
でも、購入時手数料にはいくつか納得できない点があるのです。まず、同一ファンドであるにも関わらず、販売金融機関によって購入時手数料の料率が異なるケースがあります。A銀行の窓口で購入した場合の購入時手数料は、購入代金に対して2.2%なのですが、B銀行の窓口で購入した場合は1.62%になります。しかも、このファンドを設定・運用している投資信託会社の直接販売で購入すると、購入時手数料がかかりません。まさに「一物三価」の状態になっているのです。おかしいと思いませんか。
投資信託会社の直接販売分については、販売金融機関を通さずに買ってもらうので、購入時手数料を取らないのは分かります。しかし、A銀行とB銀行の提供する役務の内容が、大きく異なるとは思えません。恐らく、どちらで買ったとしても同じでしょう。そうであるにも関わらず、A銀行とB銀行の購入時手数料には、0.58%の差があるのです。この差を合理的に説明することは出来ないと思います。
また、A銀行にしてもB銀行にしても、この投資信託を買いたいという顧客が来店した時は、「もちろん当行でもご購入いただけますが、実はこの投資信託は運用している投資信託会社が直接販売しています。ネットで簡単に手続きが出来ますし、購入時手数料もかかりませんから、そちらの方がお得です」ということを、販売員がきちっと顧客に伝えなければなりません。
それを伝えたうえで、それでも顧客が「購入時手数料はかかっても良いので、そちらで購入したい」と言ってくれた時に初めて、A銀行もB銀行も、その顧客に投資信託を販売できるはずなのです。これは別にルールベースで決められたものではありませんが、「顧客本位の業務運営の原則」に照らして考えれば、そうするべきですし、それを怠ったのだとしたら、同原則からすれば望ましくない売り方をしたということになります。