外貨預金とのセットで高金利をうたう金融商品も

また、そういう状況の中で異様な高金利預金を扱っている銀行もありますが、これは別の思惑があることを理解するべきだと思います。たとえば投資信託や外貨預金とのセット商品で、円建て定期預金の利率を、今の金利情勢では考えられないほど高めにしているものがあるのです。

たとえば投資信託や外貨預金とのセット商品で、円建て定期預金の利率を、今の金利情勢では考えられないほど高めにしているものがあるのです。たとえば直近の事例だと、トルコリラ建て外貨預金との組み合わせで、預入期間3カ月間の円建て定期預金の適用利率を26.25%にしている銀行もあります。

ただ、この26.25%という超高金利は、預入から当初3カ月間の満期までしか適用されず、その後は通常金利になりますから、数字通りに26.25%もの高金利が付くというわけではありません。3カ月ということは1年の4分の1の期間なので、単純に考えれば、26.25%という年利率に対して、実質の収益率はその4分の1である6.56%程度になります。

ちなみにこの定期預金利率は、円を30%、トルコリラを70%の比率で購入した場合に適用されるものです。もう少し、詳しく仕組みを見ていきましょう。いかに、この商品がバカげたものであるかがわかります。前述したように、円金利が26.25%でも、預入期間は3カ月なので、期間収益率は6.56%です。それでもこの超低金利時に、たとえ3カ月間とはいえ6.56%もの金利が取れるのは好条件と考えることができます。

ただ、問題は70%投資するトルコリラです。同通貨の為替スプレッドは、この銀行の場合、預入時の片道で最大75銭になっています。つまり払戻を含めた往復で1円50銭。そして現在のトルコリラ/円は、1トルコリラ=8円40銭前後で推移しているので、買値と売値の差額となるスプレッドを1円50銭とし、それをコストと見なすと、コスト負担率は17.85%にもなります。

たとえば100万円のうち30万円を円にした場合、受け取れる利息は1万9680円です。これに対して70万円をトルコリラにした場合、1トルコリラ=8円40銭だとすると、8万3333トルコリラを買うことになります。為替レートが不変と仮定した場合、為替コストは往復で1トルコリラにつき1円50銭だから、12万4999円のコストを払う計算になります。つまり、たったの1万9680円の利息を得るために、12万4999円のコストを払うのです。そして、恐らくこの為替スプレッドの相当部分はこの銀行の収益になります。

銀行は預金を集めたくないのに、これだけの高金利を提示してまでお金を集めようとする理由は何なのか。賢い消費者であれば、そこをまず考えなければなりません。つまり銀行からすれば、高い金利を提示してお金を集めても十分にペイするだけの収益が、このセット商品から得られるということです。

他にも、高金利預金と投資信託をセット商品にして、実は投資信託の購入手数料で収益を得るといった商法もあります。いずれも決して、利用者のためにはなりません。高金利の預金には必ず裏があることを認識しておくべきでしょう。