副業を解禁する企業が増える中、不動産投資に関心を持つ方も増えています。確かに上手にできればもうかるケースも多いのですが、ワンルームマンション投資には詐欺まがいともいえる悪質商法がまん延しており要注意です。

今回は、初めての不動産投資で手軽なワンルームマンション投資に手を出し大損してしまった山崎さん(仮名、28歳男性)のケースをもとに、ワンルームマンション投資の危険性や落とし穴をみていきましょう。

山崎さんのケース

山崎さんは独身の会社員です。最近、勤務先の会社で副業が解禁されて、周囲でも「給料以外の収入源を確保しよう」「老後の資金を貯めておかねば」という話をよく耳にするようになりました。

山崎さんも「何かいい副業はないだろうか……」と調べていたところ、普段使っているクレジットカード会社からのダイレクトメールに「ワンルームマンション投資のご案内」という資料が入っていました。

読んでみると「少ない元手、低リスクでマンションを購入できて、将来の備えになる」と書かれており、山崎さんは「これなら自分にもできるかもしれない」と考えました。

早速不動産会社に連絡してみると、オンライン上で個別面談をしてもらえるということだったので申し込みをしました。

メリットしかない⁉ 営業マンの説明

山崎さんがオンラインの説明会に参加すると、感じのいい不動産会社の営業マンが担当してくれて、以下のような話がありました。

「東京都心の人気エリアに、普段は出さない優良物件があります! 特別にご紹介しますね」

「価格は2500万円で、家賃10万円くらいで賃貸できます。表面利回りは年4.8%! 今どき銀行にお金を預けていても年利0.001%くらいにしかならないので、不動産投資はもうけが出やすいですよ」

「マンションの購入費用は全額、銀行でローンを借りられます」

「ローン返済は家賃から賄えるので、心配いりません。放っておいてもマンションが手に入ります」

「ワンルームマンションを購入すると、ローンを払い終わった後は家賃が全額入ってきて将来の年金代わりになります! 老後や将来に不安を感じる必要もありません」

「減価償却費や必要費用を経費算入できるので、所得税を損益通算して節税対策になります」

「団体信用生命保険に入るので、生命保険代わりになって、今の生命保険を解約してもOKです! 生命保険料の出費もなくなってお得だと思います」

「家賃保証を利用していただければ、入居者が入っていない状態でも家賃を受け取れて安心ですよ」

山崎さんは「そんなにいいことばかりなら、なぜ他の人はみんなやっていないんだろう?」と疑問に思い尋ねると、営業マンに「皆さん気付いていないんです。早く気付かれた方だけが賢く利益を得ておられます」と言われました。

山崎さんは「それなら契約しよう」と思い、紹介されたマンションの購入を申し込んでしまいました。