可決されたバイデン氏のインフラ法案の中身

2021年11月15日、バイデン氏の看板政策の一つ「インフラ投資法案」が成立しました。総額約1兆ドル(1ドル=115円で115兆円。以下同)もの巨額財政投資計画です。過去に財源が手当された支出を除き、今後5年間で5500億ドル(約63兆円)が「輸送インフラ部門」と「非輸送インフラ部門」に投じられます。

【輸送インフラ部門】
・道路橋梁:1100億ドル(約12.7兆円)
・旅客・貨物鉄道:660億ドル(約7.6兆円)
・EV(電気自動車)充電設備:150億ドル(約1.7兆円)

【非輸送インフラ部門】
・ブロードバンド網:650億ドル(約7.5兆円)
・電力グリッド網:650億ドル(約7.5兆円)
・水道:550億ドル(約6.3兆円)

このインフラ投資法案には当初予定されていた法人税の引き上げが含まれなかったため、議会予算局(CBO:Congressional Budget Office)は今後10年間で約2560億ドル(約29.4兆円)もの財政赤字が出ると試算しました。

さらに11月19日には2兆ドル(約230兆円)規模の「社会福祉法案(ビルド・バック・ベター法案)」が下院で成立し、上院での審議が始まりました。子育て支援や気候変動対策を盛り込んだ内容で、上院を通過すれば2022年1月ごろに承認されるとみられます。議会予算局(CBO)は今後10年間で3670億ドル(約42.2兆円)もの財政赤字を試算しました。

米大統領の任期と次の大統領選スケジュール

米大統領の任期は1期4年、最大2期まで務めることができます。フランクリン・D・ルーズベルト大統領は1944年に4期目の当選を果たしましたが、1951年に法律が改正され、以降は1人が大統領を3期以上務めることは禁止されました。

2021年1月に就任したバイデン大統領は最大2029年1月まで務めることができますが、2024年11月に実施される大統領選挙に勝つ必要があります。そのためには2022年11月に行われる実質的な大統領の信任選挙「中間選挙(米上院・下院の議会選挙)」でも勝利を収める必要があるでしょう。

●2022年11月:中間選挙
●2024年11月:大統領選挙
※選挙日はいずれも11月の第1月曜日の翌火曜日

仮にバイデン氏が2期目の大統領に就任した場合、任期を終えるころには86歳になっています。年齢から職務を危ぶむ声がありますが、2021年3月にバイデン氏は2期目を目指す考えを表明しており、同年11月には改めて出馬意向が報道されました。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。
AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。