顧客の利便性向上が「金融サービス仲介業」の狙い

11月1日に法律が施行され、スタートする予定の「金融サービス仲介業」。1つのライセンスで「銀行、証券、保険」のさまざまなサービスを、ワンストップで横断的に仲介できる新しい金融サービスが誕生する。2020年6月、金融商品販売法が「金融サービスの提供に関する法律」(通称:「金融サービス提供法」)に改正されたことに伴い創設されたものだ。

現時点においては、業態ごとの縦割り規制や所属制により、複数業種(銀行、証券、保険)をまたがって金融サービスが提供できる仲介業者は5社程度といわれている。このため、「さまざまな金融サービスの中から適したものを選択したい」という多くの消費者の声に対し、「金融サービス仲介業」が利便性の高いサービスになり得るとして、期待が高まっている。

今後はフィンテックやAI技術を活用しながら、いかに利便性の高い金融サービスを提供できるかが検討される一方で、不公正な取引やシステムリスク顕在化の未然の防止など、法令順守や顧客保護の観点から早急に整備すべき課題もある。

「金融サービス仲介業の具体的な業務プロセス等は、現在、全国銀行協会、日本証券業協会、生命保険協会などと協議を重ねている最中です。各金融事業者の側も、現在の業務プロセスをもとに私たちとの事業プロセスを検討いただいているところです。また、ありがたいことに、当局からも全面的な支援をいただいております。当局の皆さまも、顧客に対して新しく便利な金融サービスをお届けしたいという思いを持っているように感じています」。そう話すのは、今年4月に設立された「日本金融サービス仲介業協会」で代表理事会長を務める中村仁氏。11月の施行を目前に、協会でも急ピッチで体制を整備しているという。

日本金融サービス仲介業協会 代表理事会長
中村 仁 氏