ESG・サステナビリティとエンゲージメントの関係は?

エンゲージメントの重要性や効果が日本企業の間でも広く認知されるようになった時期と、ESG投資への関心が高まった時期が重なるため、エンゲージメントがESG投資と同義、あるいはエンゲージメントはESG投資の一部といった見方もあるかもしれない。

そこで、エンゲージメントとESG投資、またサステナビリティ(企業の持続可能性あるいは企業の持続的な成長)との関係について、簡単に整理しておこう。

「まずサステナビリティ要素を分解すると、マクロ経済や産業動向、規制、社外ステークホルダーとの関係などの外部要因と、企業自体の競争力や経営体制、社内ステークホルダーとの関係などの内部要因の2つに大きく分類されます(図1)。同時に、ファンダメンタルズ要因とESG要因に分けることもできます」(若槻氏)。
図の右半分が外部要因、左半分が内部要因という分類だが、ファンダメンタルズと「S」は両方にまたがるテーマであり、「E」は規制などの外部要因、「G」は社外取締役による経営の中立性や資本政策といった内部要因に位置付けられる。

「これらの課題に取り組むことでサステナビリティを高める――企業にそれを促す手段の1つがエンゲージメントであり、そのテーマの一部がESGと位置付けることができます」と若槻氏は説明する。

図1サステナビリティとESGの関係

出所:マーサー ジャパン