交通事故が完全にない世界は訪れるのか?

では、交通事故がない社会はどうすれば作れるのでしょうか。

事故が起きないためには、信号機をはじめとする道路整備、事故に対する厳罰化、あるいは交通安全思想の啓蒙ももちろん重要ですが、何よりヒューマンエラーをなくすことが最重要課題と言われています。

なぜなら、近年起こっている交通事故の9割が漫然運転、脇見運転などのヒューマンエラーに起因していると言われているからです。いくら罰則を強化しても交通安全思想をおのおのが身に付けても、人間の認知能力や身体能力には限界があります。ヒューマンエラーを全く0にするのが難しいことは多くの方が実感していると思います。

そこで期待されているのが自動運転技術です。ついに自動運転レベル3を実装した自動車が登場すると話題になっていますね。

自動運転レベルとは以下のような分類です※3。

・レベル0(運転自動化なし):ドライバーが全ての運転操作を行う
・レベル1(運転支援):アクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作のいずれかをシステムが担う
・レベル2(部分運転自動化):アクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作の両方をシステムが部分的に担う
・レベル3(条件付運転自動化):特定の条件下でシステムが全ての運転タスクを実行。ただし、システムから要請があればドライバーはただちに運転に戻らなければならない
・レベル4(高度運転自動化):特定の条件下でシステムが全ての運転タスクを実行
・レベル5(完全自動運転化):無条件にシステムが全ての運転タスクを実行

 自動ブレーキや加速抑制装置が実装された自動車は、今や新車生産台数の5~6割を占めています。これにより、ペダルの踏み間違いやブレーキの踏み遅れによる衝突事故はかなり防げていることでしょう。

しかし、レベル1~2ではあくまで運転の主体はドライバーです。「運転支援車」とも呼ばれ、ドライバーは運転の責任を全て負わなければなりません。

一方、レベル3以上になると運転の主体がシステムに移ります。そのため、レベル2→3への進歩は大きな転換点になることが予想できます。