8月20日は交通信号設置記念日です。1931年(昭和6年)のこの日に銀座4丁目など34か所に3色灯の自動信号機が設置されました。

それまでは警察官の合図や文字による信号標板により交通整理を行っていたのですから、約1世紀の時代の変化を感じさせる出来事と言えますね。

現在全国津々浦々で見られる青・黄・赤のランプが並んだ信号機は、今やこの社会に生きる私たちになくてはならない存在です。

とは言え、自動信号機の登場により自動車・自転車・歩行者がいついかなる場所でも安心して通行できるようになったかというとそんなことはありません。

月日とともに着々とインフラが整っていったことは確かですが、それをはるかに上回るペースで自動車台数・運転者数も増加します。しかし、ドライバーの交通安全意識や法整備が追い付かなかったため交通事故が絶えませんでした。

昭和30年頃から「交通戦争」という言葉が新聞の見出しを飾り、流行語に選ばれるなど、交通事故による死者数の増加は次第に社会問題となります。“戦争”という過激な言葉を用いているのは、交通事故死者数が日清戦争の日本側の戦死者数を上回る勢いだったから、だそうです※1。

ピークに達した1970年(昭和45年)には年間の交通事故発生件数が70万件を超え、16,765人にも及ぶ尊い命が失われました※2。

以降道路交通環境の整備、交通安全思想の普及徹底などが進み、徐々に交通事故は減少傾向にありますが、2020年現在も依然年間2,000人以上の人々が交通事故で命を落としていることは厳然たる事実です。

幼い子どもを抱えている筆者は、交通事故、とりわけ幼い命が犠牲になる事故が報道されるたびに胸を痛めるとともに、交通事故がこの世からなくなることを切に願っています。また、ハンドルを握りながら自分が加害者にならないか常に不安を抱えています。