2020年8月17日に静岡県浜松市で41.1度の日本での最高気温を記録した。これは2018年に埼玉県熊谷市で観測した41.1度と並び、日本歴代最高気温のタイ記録だ。
かつてない温暖化のスピード
年齢を重ねている人ほど、温暖化の危機を実感しているに違いない。四国出身の筆者なども、子供時代に雪が随分と降ったことを思い出す。雪だるまを作ったこともあり、女の子などは、雪でウサギの形をつくり目を赤いナンテンの実で仕上げていた。
就職をした後でも、東京では深い雪を経験したし、入社当時の9月は、秋の長雨時期でもあり薄手のコートを時々来ていた記憶がある。
世界最高気温記録は、今から100年以上も前になる、1913年7月10日にカリフォルニア州デスバレーで出た56.7度だ。
そのデスバレーで、今年2021年7月9日に、気温が54.4度まで上昇した。これが正式な記録として認められれば、世界の観測史上2番目の高温となる可能性がある。同じ場所で昨年8月にも全く同じ54.4度の気温が観測された。デスバレーは、海抜マイナス86メートルという、北米で一番低い谷に位置しており、深い谷には暑さがこもりやすく、昔から多くの人が命を奪われた歴史がある。
気温の上昇は、人間社会が生み出す二酸化炭素の排出を主因とする温暖化ガスの増加が原因だとされる。しかし、地球の長い歴史の中で、自然発生的に寒冷の時期と温暖の時期が交互にやってきたことが解明されている。
約7000年前に当たる縄文時代は温暖期だった。この頃は今よりも2〜3度も気温が高く、海面は今よりも3〜5メートルほど高かったとされる。荒川周辺の低い地域は海底であり、埼玉県の川越市くらいまで海だったとされる。
46億年の歴史がある地球は約10万年ごとに暖かくなったり寒くなったりする期を繰り返してきたことが分かっている。その原因は、日射量の変化だとされる。太陽から地球に降り注ぐエネルギーである日射量が、約10万年ごとに増えたり減ったりしたためだ。これは地球の自転軸がぶれて、太陽の周りを回る軌道が変化することで引き起こされる(「ミランコビッチサイクル」)。南極やグリーンランドの古い氷の中に閉じ込められた空気の分析から判明した。
ただ、今回の温暖化は、これまでには見られなかったようなスピードで進んでいる。20世紀後半からの気温上昇は、これまでの実績の10倍もの速さで進展しているそうだ。人類の活動が大きく影響しているものと考えられる。
今年になってからでも、世界各地での洪水、山火事など気候変動による災害が多発している。海水の上昇も刻々と進んでいる。アメリカ・フロリダ州の一部では、1年に3~4ミリの海面上昇が続いている。生態系への変化が突然起こり、農業の崩壊すら起こりうるとする専門家もいる。
研究者の中には、何百年も先には平地が少なくなり、険しい山や海の中にも、あるいは宇宙に新たな住居を求める時代が到来すると予想する人もいる。