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金融専門の公認会計士が示す 攻めの金融商品会計のアイデア

ファンド投資戦略に必須の「一人私募投資信託」の論点を整理する

岡本 修
岡本 修
新宿経済研究所 代表社員社長 公認会計士
2023.08.21
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ファンド投資戦略に必須の「一人私募投資信託」の論点を整理する

 

 投資信託の会計処理

私たちが知る金融商品会計は、前世紀末の、いわゆる「会計ビッグバン」のころに導入されたものだ。時価会計を含め、当時としては画期的な仕組みが多く導入される一方、「その他有価証券」の「資本直入(※)」という技法を用いることで、「市場の時価が変化するだけで企業業績が左右されてしまう」という実務界の懸念に配慮するなど、非常にバランスの取れたものであったことは間違いない(※なお、その後の会計基準の変更等に伴い、現在では「資本直入」ではなく「純資産直入」ないし「その他包括利益計上」などの用語が使われている)。その金融商品会計基準自体は、小幅な修正が多数付け加えられているにせよ、基本的に現在でもそのままの枠組みで使用されている。

ただ、基準が制定された1999年時点と現時点を比べると、社会情勢には大きな変化が生じていることを忘れてはならない。その典型例が、基準制定時には考えられなかったような、さまざまな投資スキームの発生だ。とりわけ、高度で複雑な金融商品だけでなく、比較的シンプルな、会計基準の「穴」を突くような商品も開発されており、多くの機関投資家に好んで購入されている。前回の『ヘッジ戦略としての「債券ベアファンド」を買わざるを得ない会計上の理由』でも説明した、「デリバティブを内包した投資信託」も、その典型例だろう。

 

 投資信託の会計処理

私たちが知る金融商品会計は、前世紀末の、いわゆる「会計ビッグバン」のころに導入されたものだ。時価会計を含め、当時としては画期的な仕組みが多く導入される一方、「その他有価証券」の「資本直入(※)」という技法を用いることで、「市場の時価が変化するだけで企業業績が左右されてしまう」という実務界の懸念に配慮するなど、非常にバランスの取れたものであったことは間違いない(※なお、その後の会計基準の変更等に伴い、現在では「資本直入」ではなく「純資産直入」ないし「その他包括利益計上」などの用語が使われている)。その金融商品会計基準自体は、小幅な修正が多数付け加えられているにせよ、基本的に現在でもそのままの枠組みで使用されている。

ただ、基準が制定された1999年時点と現時点を比べると、社会情勢には大きな変化が生じていることを忘れてはならない。その典型例が、基準制定時には考えられなかったような、さまざまな投資スキームの発生だ。とりわけ、高度で複雑な金融商品だけでなく、比較的シンプルな、会計基準の「穴」を突くような商品も開発されており、多くの機関投資家に好んで購入されている。前回の『ヘッジ戦略としての「債券ベアファンド」を買わざるを得ない会計上の理由』でも説明した、「デリバティブを内包した投資信託」も、その典型例だろう。

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著者情報

岡本 修
おかもと おさむ
新宿経済研究所 代表社員社長 公認会計士
1998年 慶応義塾大学商学部卒業後、国家公務員採用一種試験(経済職)合格。中央青山監査法人(2000年)、朝日監査法人(現・あずさ監査法人)(2002年)を経て、2006年にみずほ証券入社。9年間、債券営業セクションにて金融機関を中心とするソリューション営業に従事し、2015年に金融商品会計と金融規制に特化したコンサルティング・ファームの合同会社新宿経済研究所を設立、現在に至る。株式会社Stand by C顧問。公認会計士開業登録(2004年)。
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