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金融専門の公認会計士が示す 攻めの金融商品会計のアイデア

ヘッジ戦略としての「債券ベアファンド」を買わざるを得ない会計上の理由

岡本 修
岡本 修
新宿経済研究所 代表社員社長 公認会計士
2023.07.20
会員限定
ヘッジ戦略としての「債券ベアファンド」を買わざるを得ない会計上の理由

金利上昇リスク

本連載シリーズは、おもに金融商品会計や金融規制など、「制度面」から、銀行等機関投資家にとって有益な情報を提供することを目的としている。したがって、著者自身の「相場観」について申し上げることは、基本的には控えたいと思っている。ただ、昨今のインフレ率上昇にともない、利上げ観測が高まっていることは間違いない。正確な数値を引用しておくならば、6月23日に公表された5月時点の消費者物価指数(CPI、2020年基準)は、総合指数が+3.2%、生鮮食品を除いたいわゆる「コア」が+3.2%、さらにエネルギーも除いた「コアコア」が+4.3%(いずれも前年同月比)であり、これだけで見れば、日銀が長らく目標としていた「2%インフレ」は既に達成されていることになる。本稿執筆時点において日銀はイールドカーブ・コントロールを含めた緩和的な金融政策を維持しているが、いずれにせよ「備えあれば憂いなし」、であろう。

そもそも銀行等金融機関の場合は、業種特性として、恒常的に金利リスクか信用リスクの、少なくともいずれかを抱えざるを得ない運命にある。預金という(おもに)短期の金利で資金を調達し、それを調達金利以上で運用しようとすれば、ベットすべきリスクは長期金利か信用リスクのいずれかとならざるを得ないからだ。当然、金利リスクのコントロールは多くの金融機関にとって、非常に悩ましい問題である。

金利上昇リスク

本連載シリーズは、おもに金融商品会計や金融規制など、「制度面」から、銀行等機関投資家にとって有益な情報を提供することを目的としている。したがって、著者自身の「相場観」について申し上げることは、基本的には控えたいと思っている。ただ、昨今のインフレ率上昇にともない、利上げ観測が高まっていることは間違いない。正確な数値を引用しておくならば、6月23日に公表された5月時点の消費者物価指数(CPI、2020年基準)は、総合指数が+3.2%、生鮮食品を除いたいわゆる「コア」が+3.2%、さらにエネルギーも除いた「コアコア」が+4.3%(いずれも前年同月比)であり、これだけで見れば、日銀が長らく目標としていた「2%インフレ」は既に達成されていることになる。本稿執筆時点において日銀はイールドカーブ・コントロールを含めた緩和的な金融政策を維持しているが、いずれにせよ「備えあれば憂いなし」、であろう。

そもそも銀行等金融機関の場合は、業種特性として、恒常的に金利リスクか信用リスクの、少なくともいずれかを抱えざるを得ない運命にある。預金という(おもに)短期の金利で資金を調達し、それを調達金利以上で運用しようとすれば、ベットすべきリスクは長期金利か信用リスクのいずれかとならざるを得ないからだ。当然、金利リスクのコントロールは多くの金融機関にとって、非常に悩ましい問題である。

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著者情報

岡本 修
おかもと おさむ
新宿経済研究所 代表社員社長 公認会計士
1998年 慶応義塾大学商学部卒業後、国家公務員採用一種試験(経済職)合格。中央青山監査法人(2000年)、朝日監査法人(現・あずさ監査法人)(2002年)を経て、2006年にみずほ証券入社。9年間、債券営業セクションにて金融機関を中心とするソリューション営業に従事し、2015年に金融商品会計と金融規制に特化したコンサルティング・ファームの合同会社新宿経済研究所を設立、現在に至る。株式会社Stand by C顧問。公認会計士開業登録(2004年)。
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